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多発性のう胞腎の原因と症状および対処法

 遺伝性の腎疾患としてもっとも頻度の高いものがこの多発性のう胞腎です。腎臓にのう胞という液体のたまった袋が数多くでき、それらが腎臓を圧迫。徐々に腎機能の低下にいたる進行性の病です。

悪化すると腎不全におちいり、また腎臓病の種類の中でも特有の合併症を引き起こす可能性があるため、脳動脈瘤・頭蓋内出血などの危険性が高い、注意が必要な病気です。

腎臓病の種類の中でも特有の遺伝性疾患

多発性のう胞腎によって医療機関にかかっている患者数は、推定でおおよそ30,000人とされています。かかっていない人を含めると全国で10~20万人の患者数がいるとされています。

遺伝性の腎疾患の中でももっとも頻度が高いといわれており、その遺伝確率は男女差関係なく50パーセントとも。また突然変異として新たに発症する例も多く見られます。発症には個人差があり、遺伝性の疾患ではありますがかなり遅くに発症するケースが多く見られるようです。

多発性のう胞腎の症状は?

多くの場合が30~40歳代まで無症状です。

初期の症状としてはスポーツなどによる体への衝撃後の血尿・腹痛・腰の痛みなどが見られ、のう胞が多くできてしまった状態では腎臓肥大によるおなかの張り・食欲低下・疲労感・夜間尿・息切れなどが見られます。

のう胞の感染・尿路結石・のう胞出血による急な痛み、腎臓肥大によって腎臓を覆う膜がのばされる慢性の痛みなどを感じたら、かなり進行した状態だと思っていいでしょう。

また合併症として高血圧が多くみられ、脳出血なども通常より高い頻度で起こります。高血圧からこの病気が発見されるケースも多いようです。

多発性のう胞腎の治療法

確立された根本的な治療法はありません。高血圧があれば血圧のコントロール、腎機能の障害がおこっている場合は、腎機能低下をおさえるなど保存的治療をおこなう場合がほとんどです。

症状緩和やのう胞を抑えることが期待されている薬剤の臨床試験がおこなわれており、その薬剤が有効であれば、未来の治療薬となるかもしれません。

さまざまな合併症

多発性のう胞腎の合併症でもっとも多く見られるのが高血圧です。高血圧から脳内出血などにもいたり、さまざまな全身の病気へとつながる可能性があるため、血圧管理が必要となるでしょう。

高熱や腹痛が起こった場合にはのう胞感染の疑いがあり、何度も繰り返す可能性があるため、のう胞の排液をおこなう場合もあります。血尿を伴った場合には尿路結石やのう胞出血の疑いがみられます。

もっとも注意しなければならないのが脳動脈瘤やくも膜下出血です。脳動脈瘤の家族暦がある場合には一般の5~10倍以上、発症年齢も40歳前後と一般に比べ10~20歳若いといわれており、致死的疾患であるため、多発性のう胞腎においてもっとも注意すべき点だといえます。

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