一般的な血液透析を行う場合、1回4~5時間、週3回というのが基本となります。しかしこのスケジュールでは、日中に仕事をしながら治療を受けることはかなり困難です。そのため、通勤・通学といった社会復帰を強く希望される方の場合、仕事や学業との両立を可能とする方法として、オーバーナイト透析、腹膜透析がおススメとなります。
オーバーナイト透析は夜間の睡眠時間を利用して行う血液透析ですので、日中の時間的な拘束はほとんどなく、仕事をすることが可能となります。
また、腹膜透析は患者さんまたは介助者が自宅で行う透析方法ですので、透析スケジュールが自由に組めることから、仕事との両立がしやすいとされています。
仕事と透析治療を両立させるために、おススメのスケジュール事例を挙げてみました。
オーバーナイト透析を行う当日のスケジュールは
このように、睡眠中に透析治療を行っていますので、透析治療日でも日中は普段通りに出勤し、仕事をすることが可能となります。
1日1回、自宅での睡眠時間中に機械(自動腹膜透析装置)を使って、腹膜透析を行っていきます。
腹膜透析の場合、血液透析とは異なりこの1日のスケジュールを毎日行っていきます。
血液透析であるオーバーナイト透析は、週3回通院して行われます。
例えば、オーバーナイト透析を実施するのを月曜・水曜・金曜で設定した場合、残りの火曜・木曜・土曜・日曜は比較的自由に行動することができます。平日であれば出勤して仕事をした後も自由時間となりますので、会社の人とのお付き合いも可能となります。また、土日も自由な日となりますので、プライベートを充実させることもできます。
透析患者さんに限ったことではありませんが、仕事をもって社会生活を送ることは、自分を成長させ生きるモチベーションを与えてくれるもてくれのといえます。しかし、透析を導入するにあたっては、その仕事を一時休職したりまたは離職しなければならないこともあります。幸い、透析を行っていくうえでの助成制度は複数あり、自己負担額が少なくなるような制度が整えられています。
未来永劫この制度が続くかといえば、正直不透明といわざるを得ません。ですので、精神的・経済的両面から見ても、早めに社会復帰をしていくことは、大切であるといえるのです。
ただし、透析治療を行いながら再就労や再就職をするときは、いくつか確認したり注意していきたいポイントがあります。
まず確認したいのが、通院しながら勤務する環境が整っているかという点です。透析を行っているということを十分理解してくれているか、現状の体力や治療に無理のない範囲で働くことができるかをしっかり確認し、次のステップへと進んでいくようにしましょう。
また再就職の場合、年齢などで難しいということをよく理解し、ハローワークや障碍者専門の人材紹介会社などのサポートを利用して、焦らずに就職活動をしていきましょう。就労が決まったら、一番注意しなければいけないのが体調管理です。睡眠不足や暴飲暴食は避け、十分な睡眠で休養を取りながらしっかりと透析治療を行っていく。そうして体調を整えることで、しっかりと仕事にも取り組んでいけることでしょう。
<参考文献>
腎援隊 通院血液透析の生活パターン~よりよい透析生活のために ①~
https://jinentai.com/dialysis/livelihoods/31
朝日デジタル 人工透析、眠っている間に 仕事と両立・体の負担も減
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20181018002433.html
東京女子医科大学病院 腎臓病総合医療センター 公式サイト
http://www.twmu.ac.jp/NEP/hukumaku-toseki/hukumaku-toseki-schedule.html