腎臓病の食事療法の中核にあるのが、たんぱく質制限です。ほとんどの食べ物にたんぱく質が含まれるため、「たんぱく質量を減らすことにより、1日の総エネルギー量も減ってしまう」という傾向があります。ついでにダイエットもできて好都合?いえいえ、そういうわけにはいかないのです。
腎臓病の食事療法で定められたエネルギーが摂取できないとどのような問題があるのか、摂取エネルギーを増やすためにはどうすればいいか、食事療法の治療効果を高めるために重要なエネルギー摂取のコツについて調べてみました。
腎臓病の食事療法では、たんぱく質や塩分、リンやカリウムなど制限しなければならない成分が多くなります。そのため、どうしても食品のバリエーションが減って食が細くなる傾向があります。肥満気味の人であっても、食事療法で定められた総エネルギー量を下回るようなことがあると、日常の活動に必要なエネルギー源が確保できなくなってしまいます。
たんぱく質のページでくわしく説明しましたが、使えるエネルギーがなくなると、文字通り身を削ってエネルギー源を確保しようとします。体内のたんぱく質を燃焼させることによって腎臓に負担がかかりますし、筋肉量が減ると体を動かすこと自体が難しくなり、やせ細って抵抗力が落ちることもあります。慢性腎不全の場合、食事療法は生涯続きますので、しっかりエネルギーを確保することが大切なポイントです。
一般的に生活習慣病を予防するためには、脂質や糖質は控えるべきと言われていますが、腎臓病の食事療法の場合は異なります。自分に必要なカロリーを脂質と糖質から摂って、治療が継続できるようにしましょう。
医師の指示によって違いますが、1日に必要なエネルギー量の計算はこうなります。たとえば体重1キロあたり27~35kcalに設定する場合、体重が60キロなら1,620~2,100kcalということになります。
標準体重は計算式「(身長:m)×(身長:m)×22」で求められますので、
身長160cmの人の場合、(1.6×1.6)×22=標準体重56.3kg
56.3kg×35kcal=1日の必要エネルギー量1,970kcal
ということになります。
3食+間食でこの1,970kcalが摂取できれば問題ないのですが、たんぱく質制限がある場合、たんぱく質を減らしながら必要なエネルギー量を摂ることが難しくなります。糖尿病性腎症のかたなどはその典型になりますので、必要なエネルギー量を摂取するための工夫が必要になってくるというわけです。
油や砂糖、ハチミツなどの糖類と、デンプン類を食事の中に取り入れましょう。同じ食材を使用していても、揚げ物や炒め物などカロリーが増える調理法へ変えるなど工夫をしましょう。
低たんぱくで高カロリーな食品を選ぶ、砂糖の代わりに使う「粉飴」、消化吸収がいい「MCT(中佐脂肪酸油)」など、腎臓病の治療用特別食品を活用する、毎日一度は油を使った料理をする…といった方法があります。そのほかにも…
といった感じで工夫してみてください。
マヨネーズやサラダ油、ドレッシングなどは少量でもカロリーが高いので、意識的に摂るようにするとよいと思います。ただし、ドレッシングなどの調味料は塩分を多く含んでいますので、減塩タイプのものを選ぶようにしましょう。
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