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ハイブリッド透析

ハイブリッド透析とは

ハイブリッド透析とは、腹膜透析を行いながら週に1回程度の血液透析を併用する透析方法になります。腹膜透析には、残腎機能を長く保つことが可能で、身体への負担が少ないというメリットがある反面、除水効果があまり高くなく体液過剰が起こる場合もあります。

このように、腹膜透析だけでは安定した透析治療が行うことが困難となった場合、血液透析を追加するハイブリッド透析を行うことでバランスを崩した体液をコントロールしていきます。

2010年より保険適応が認められた、比較的新しいといえるこの透析方法は、現在腹膜透析を行っている患者さんの約2割が実施していると報告されています。

それでは、そんなハイブリッド透析にはどんなメリットやデメリットがあるとされているのか、ご紹介していきましょう。

ハイブリッド透析のメリット

ハイブリッド透析は、腹膜透析に血液透析を追加した治療法です。そのため、腹膜透析のメリットである、貧血や栄養状態の改善、QOL(生活の質)の向上といった利点を得ることが可能です。

加えて、血液透析の効果により、尿毒素の除去ができるようになり、透析効率が腹膜透析単独の時よりもさらに増加しますし、体液のコントロールも安定するため体重の管理もしやすい、といったメリットが得られるようになります。

また、腹膜透析は腹膜の劣化により長期にわたって継続的に行うことが困難ですが、血液透析が加わることで腹膜の劣化が緩やかとなり、長期的に腹膜透析が継続できるようになる、といったメリットも報告されています。

ハイブリッド透析のデメリット

腹膜透析と血液透析の併用であるハイブリッド透析を行う場合、透析量が増える半面で残腎機能が低下し尿量が減りやすいといったデメリットが挙げられています。その他にも、腹膜透析のためのカテーテルを腹部に取り付けることに加えて、血液透析のためのシャントを作る手術を受ける必要が出てきます。

また、血液透析を受けるために医療機関へ通院する必要が出てくるため、透析治療のための時間的な拘束が長くなり、日常生活に影響が出てきてしまうことも、ハイブリッド透析のデメリットとされています。

どんな人がハイブリッド透析に適しているのか

ハイブリッド透析を導入するのに適している人については、日本透析医学会の「腹膜透析ガイドライン」によると、「除水不全(尿量不足)」「溶質除去不全」「QOL(生活の質)の向上」の3つが主な基準となっているそうです。「除水不全」は、腹膜透析だけでは除水効率が悪く体液のコントロールができずむくみ等の症状が出ている、体重の増加が著しいといった症状がみられる方など、「溶質除去不全」は、血液検査で尿毒症などが疑われる方などが、ハイブリッド透析に適応するとされています。

また「QOL(生活の質)の向上」は、少しでも透析をする時間を減らして社会復帰をしたい、と強く希望されている方なども、適応基準の中に含まれています。一般的なハイブリッド透析の実施スケジュールは、腹膜透析に5日、血液透析に1日、腹膜休息で透析をしない1日、といった1週間が基本となります。ただその中で組み合わせはいろいろありますので、特にQOLの向上を希望される方は、主治医の先生と相談しながらスケジュール等を決め、ハイブリッド透析を導入していくようになるそうです。


<参考文献>

日本腎臓学会発作成の診療ガイドライン
https://www.jsn.or.jp/guideline/guideline.php

透析治療ガイドライン
https://www.jsdt.or.jp/dialysis/2094.html

優人クリニック公式サイト ハイブリッド療法
http://vd09091502.mv.ymc.ne.jp/166/

日本透析医学会シンポジウム 資料
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdt/44/11/44_11_1065/_pdf

腎不全の治療選択 - 日本腎臓学会
https://cdn.jsn.or.jp/jsn_new/iryou/kaiin/free/primers/pdf/sentaku_book.pdf

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