血液透析の種類の一つであるオーバーナイト透析とは、夜間の睡眠時間を利用して行う長時間透析方法です。標準的な血液透析の1回にかかる時間は4~5時間ですが、オーバーナイト透析では睡眠中の8時間をかけて透析を行うため、十分な腎機能の代替効果が得られ、患者さんの予後も向上することが報告されています。
それでは、そんなオーバーナイト透析のメリットとデメリットを、もう少し詳しくご紹介していきましょう。
オーバーナイト透析を行うことによるメリットとしては、大きく分けて次の2点が挙げられています。
オーバーナイト透析を行う最大のメリットとされているのが、日中ではなく夜間の睡眠時間を利用して透析を行うという点です。
長時間透析法でもあるオーバーナイト透析は、1回8時間をかけて透析を行います。それにより十分な透析効果が得られますが、これを日中に行おうとすると時間的な拘束が長すぎて、日常生活に多大な支障をきたすことになり、精神的にも肉体的にも患者さんにとって大きな負担となってしまいます。
しかし、オーバーナイト透析は夜間眠っている間に行われるため、長時間行う透析であっても仕事や学業など日常生活の質を落とすことなく、透析療法を続けることが可能となります。
オーバーナイト透析は睡眠時間である夜間の8時間を利用して行われますので、長時間透析と同じく血圧のコントロールが良好となり、心機能など体への負担も軽減できることが報告されています。その効果により、合併症の改善や薬剤の服用量を減らすことが可能になる、というメリットが得られるとされています。
オーバーナイト透析のデメリットとして挙げられるのは、実はメリットであるはずの夜間に透析を行う、という点です。オーバーナイト透析は夜間、患者さんの睡眠中に行われるため、人の目が多い日中に行われる透析治療と比較して、どうしても緊急時の対応が劣ってしまうことは否めません。
また、オーバーナイト透析を実施できる施設が限られているという点も、デメリットの一つに挙げられるかと思います。
腎臓の機能が著しく低下している深刻な腎不全を起こしている方や、一般的な血液透析では十分な効果が得られていないと感じる方、仕事や学業などに復帰し日常生活の質を向上させたいと希望している方などに適した透析方法と言えます。
オーバーナイト透析はデメリットにも挙げたとおり、夜間に行われるため緊急時の対応がどうしても希薄になりがちです。ですので、透析中にそんな緊急事態を起こさないためにも、リスク管理をしっかりしなければなりません。そのため、日ごろから体重管理や食事管理ができている、合併症のコントロール状況を良好にする、といったことが重要になります。
また、睡眠中の寝返りなどで針が抜けてしまうようなことがあれば、大事故となってしまいます。オーバーナイト透析を行う時は、針が抜けるといったことが絶対にないよう、十分な対策がとれているか注意しなければなりません。
※出典・http://nirenomori.jp/files/uploads/overnight01.pdf
※体験談はあくまでもひとつのケースであり、個人によって効果や状態は異なります。
<参考文献>
日本腎臓学会発作成の診療ガイドライン
https://www.jsn.or.jp/guideline/guideline.php
透析治療ガイドライン
https://www.jsdt.or.jp/dialysis/2094.html
メディプレス オーバーナイト透析
https://dialysis.medipress.jp/disease-and-cure/dialysis-basic/88