人工透析療法の一つである「腹膜透析」とは、胃や腸など内臓を覆っている腹膜を利用して、血液中の老廃物や余分な水分を除去していく方法です。お腹の中にカテーテルという管を通して透析液を貯留することで、腹膜を通して血液中の老廃物や不要な尿毒素、過剰な水分などを透析液に移動(拡散・浸透)させます。その後透析液をカテーテルから体外へ排出することで、血液をきれいにしていきます。
心血管系などへの負担が少なく、残腎機能の維持も期待できるのが特徴となっています。ただ、腹膜透析は実施期間が長くなる(8年以上の継続)と腹膜機能が劣化していくため、合併症を起こしやすくなるというリスクがあります。ですので、長期的な継続治療には適さず、時限的な透析治療法となるそうです。
機能を失ってしまった腎臓の代わりに、血液中の老廃物や余分な水分をろ過・排出していき、血液をきれいにしていくのが人工透析療法です。血液透析と腹膜透析は、どちらもこの人工透析療法ではありますが、血液をきれいにするその方法には明確な違いがあります。
まず腹膜透析が、お腹の中の腹膜を利用して血液の浄化を行うのに対し、血液透析は体外の人工腎臓に大量の血液を送り、血液中の老廃物や余分な水分をろ過・排出を行い、きれいになった血液を再び体内に戻していく、という方法です。
そのため、血液透析ではシャントを造るなど事前準備や透析機器のある医療機関に週3回(標準的な血液透析の場合)通院する必要があります。
しかし腹膜透析の場合、自宅で患者さん自身が行う透析方法のため、事前準備としてカテーテルを植え込む必要はありますが、通院は月に1~2回ほどと血液透析よりも少なくて済み、血液透析よりもQOL(生活の質)を高く保つことが可能です。
CAPD(連続携行式腹膜透析)とは、透析液のパック交換を6~8時間ごと、1日4回程度(朝・昼・夕方・就寝前)行う腹膜透析方法です。パックの交換は、まずお腹の中に入っていた透析液をカテーテルから空のパックに排出し、そのあと新しい透析液の入ったパックからカテーテルを通して透析液を1.5~2ℓを腹内へ注入することで完了となります。この交換作業には約30分ほどかかりますが、それ以外の時間は普通に日常生活を送ることが可能です。
APD(自動腹膜透析)とは、自動腹膜透析装置という機械を使用して、夜間の就寝中に自動的に腹膜透析を行う方法です。APDの場合、夜の間に透析を行っているので、お昼に1回パックの交換を行うだけで、あとの日中は普通に日常生活を送ることができるという特徴を持っています。
ハイブリッド透析とは、腹膜透析と血液透析を併用して透析治療を行っていく方法です。日本では、腹膜透析を行いながら週1回の血液透析を併用することが認められており、現段階で2,000人以上の患者さんがこのハイブリッド透析治療を選択し、実施されているそうです。
ハイブリッド透析(腹膜透析と血液透析の併用)治療では、溶質除去不足や水分除去不足が解消されたり、腹膜の劣化が予防できる腹膜組織保護作用が認められる、といったメリットを得ることができるそうです。
<参考文献>
日本腎臓学会発作成の診療ガイドライン
https://www.jsn.or.jp/guideline/guideline.php
透析治療ガイドライン
https://www.jsdt.or.jp/dialysis/2094.html
東京女子医科大学病院 腎臓病総合医療センター公式サイト(血液透析と腹膜透析の比較)
http://www.twmu.ac.jp/NEP/hukumaku-toseki.html
大阪府立急性期・総合医療センター公式サイト CAPDとは?
http://plaza.umin.ac.jp/~kidney/toseki_capd.html
関西CAPD看護研究会公式サイト 腹膜透析(CAPD/APD)とは?
http://www.kansai-capd-ns.com/capd/