腎臓病の食事療法では、タンパク質と塩分の制限が重要ですが、それ以外にも摂取を控えるべき成分があります(医師からの制限指示があった場合)。
リンやカリウム、水分の摂取制限について、どんな場合に抑える必要があるのか、注意すべき点などをまとめてご紹介します。
腎臓の働きが弱くなってくると、血液中のカリウムを体外へ排出する機能も低下する、いわゆる高カリウム血症という状態になってしまいます。身体のしびれやだるさといった症状が出て、重大な不整脈を起こすこともある危険な疾患です。
ですから、制限指示が出ている場合はカラダの負担を減らすよう、食事から摂取するカリウムの量を1日に1,500㎎程度に制限する必要があるのです。
カリウムは野菜の中に多く含まれるので、腎臓疾患のある人が健康のためにと野菜をたくさん食べると、高カリウム血症へつながることがあります。野菜はできるだけ茹でて食べるようにし、生野菜を食べる際は細かく刻んで水にさらしたり工夫するようにしましょう。
野菜の中でも芋類はカリウムがとても多く、茹でても素材の中に残ってしまうので、制限がある場合は食べる量に気をつけましょう。カボチャやニラ、水菜、ナス、ハクサイ、キャベツもカリウム量が多い野菜。お肉やお魚にも多く含まれていて、特にお刺身は食べる量に注意しましょう。果物では、バナナと夏みかん、メロンなどに比較的多くカリウムが含まれています。
腎臓の機能低下によって、血中のリン排出機能も落ちてしまい高リン血症となってしまいます。リンが多くなると、血液中のカルシウム濃度が低くなるそうで、バランスを保つために骨からカルシウムを引き出すようになります。この状態が続けば当然ですが、骨がもろくなってしまう結果となるわけです。
医師から制限指示があった場合、これを防ぐためにはリンを制限する必要があります。ただ、リンはたんぱく質と一緒に含まれていることが多いので、たんぱく質の制限を行うと同時にリンの摂取量も軽減できます。
また、リンが増えることによって起きてしまうカルシウムの低下を補うために、カルシウムの製剤やカルシウムの吸収を高めるビタミンDの薬などを処方されることがあります。
一般的にタンパク質が多く含まれている食材には、リンも多く含まれていると言われていますから、たんぱく質を制限するだけでリンの摂取量も減らすことができます。ただし、注意すべきはリンの増加によって起きてしまうカルシウムの減少です。
腎疾患の患者さんの中には、カルシウムを多く摂ろうとして、牛乳や小魚などを食べ過ぎるかたがいらっしゃいますが、これらの食材にはカルシウムと同時にリンも多く含まれていますから、結果としてリンの濃度が上がってしまいます。健康に良いと思ってすることが、腎臓病の場合は裏目に出ることもあるので注意が必要です。
透析前で尿の量がとても少なくなっている状態のときや、むくみが出ているときは、摂取する水分の量を控える必要があります。しかし、むくみがなくて尿の量も普段通りなら、水分も普通に摂取して構いません。
ただ、腎臓の機能が弱っている方は、身体の水分を維持する機能も落ちていますから、ちょっとした水分制限でも脱水状態になってしまうことがあります。普通に食事ができる状態なら構いませんが、食欲がないときや風邪を引いているときなどは、注意して水分を多めに摂る必要があるのです。
医師の指示にもよりますが、一般的には、尿の量は1日に1,500mlくらいになるよう、水分摂取量をコントロールするといいと言われています。
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