慢性糸球体腎炎の中でも30%以上を占め、日本人に最も多いとされる腎炎がIgA腎症です。
その原因や症状、治療法や予後などについて詳しく解説していきたいと思います。
IgA腎症とは、腎臓の糸球体に、体内で抗体として働く免疫グロブリンの一種、IgAというタンパクが付着してしまう慢性糸球体腎炎のことを言います。
糸球体は血液中の老廃物をろ過して尿を作る、ザルの網目のようなものなので、この部分に余計なタンパクがくっついてしまうと、詰りを起こして機能が低下してしまいます。
定期健診の尿検査などで、タンパク尿や血尿を指摘されて判明したり、感染症に架ったときに肉眼でもわかる血尿があったりして発見されるケースが多いようです。
日本人では慢性糸球体腎炎の3割がこのIgA腎症であると言われ、特に10代と40代の患者数が多いとされています。
IgA腎症はとても患者数が多い腎臓疾患ではありますが、原因についてはよくわかっていないのが現状。体内に侵入した異物に対抗するために作られる抗体が腎臓にくっついて腎炎を引き起こしていることから、細菌やウイルス感染が原因となっている説が有力です。
何らかの異物(細菌?ウイルス?)が、のどや腸などに入り、これに対抗するために免疫複合体であるIgAが過剰に作り出されることまでは分かっているのですが、原因である抗原は完全には分かっていません。最近の研究では、のど(扁桃)への慢性の感染症が関連しているのでは?と言われているそうです。
治療法は、ほかの腎臓疾患と同様に、タンパク質や塩分を控える食事療法と、運動制限、薬物治療が基本です。軽い症状の場合は抗血小板薬を投与されますが、重症の患者さんには副腎皮質ステロイドホルモン剤が使われることもあります。
以前、IgA腎症は慢性糸球体腎炎の中でも活動性が低くて症状が軽く、予後の経過も良好であると言われていました。しかし最近では、研究が進み検査方法などが確立してくるにしたがって、必ずしも軽い病気であるとは言い切れなくなってきています。
例えば、IgA腎症を発症後20年後の経過を調べたところ、患者さんの約30~40%は腎不全となっていることが分かりました。IgA腎症を発症した当時は、活動性が低い病気であると診断されていても、定期的に検尿や血液検査、腎生検などを行って、腎臓の機能を確認しておく必要があるのです。
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