慢性腎臓病は、腎機能の状態に合わせて5段階のステージに分類されています。腎臓病のステージについて、分類や算出方法、ステージごとの特徴や治療方針を解説していきます。
腎臓病は病気の重症度(腎臓機能の状態レベル)に応じて、ステージ1からステージ5の5段階に分類されています。腎臓機能区分ともいわれ、1ステージはG1。比較的軽い状態で、ステージが上がるごとに重症化していきます。
その判断基準になるのが尿中の蛋白の有無と、腎機能を示す指標糸球体ろ過量(GFR)です。ただ、糸球体ろ過量を調べるのは大変なため、簡単に推計できる推算糸球体ろ過量(eGFR※)で代替することもあります。
※eGFR=血液をとって調べるクレアチニン値と、性別・年齢の3つから計算して出す腎機能異常の数値
G1 | 障害はあるものの、腎機能は正常か高値 |
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G2 | 腎機能、軽度低下 |
G3 | 腎機能 中等度低下 |
G4 | 腎機能 高度低下 |
G5 | 腎不全 |
腎臓は沈黙の臓器ともいわれ、初期の段階では自覚症状が出てきにくいもの。G2(ステージ2)ではすでに腎機能が低下しているものの、自覚症状がほとんどないため異変に気が付くのはG3あたりからが多いのが現実です。
eGFRの計算式は次のとおりです。
女性のeGFRは男性のeGFR×0.739となります。男女で式が変わるのは、男女の筋肉量の違いを補正するための措置です。
※eGFRは血清クレアチニン濃度の値を使って推算しますが、クレアチニンは筋肉の運動エネルギー源として存在する物質なので、筋肉量の多い人ほど濃度が高くなる傾向があります。
さらに詳しく、ステージごとの特徴と治療方針を見ていきましょう。
自覚症状がほとんどない段階のため、健康診断などで発見される場合が多いです。障害は起きているものの、早期に治療を始めることができます。
治療の基本は健康管理です。障害の原因が糖尿病や高血圧など、生活習慣病、メタボリックシンドロームとの関連が考えられる場合に、食事療法(エネルギー制限、塩分制限など)が重要になります。
年に1~2回は健康診断や特定検診を利用し、血液検査と尿検査で腎臓病の早期発見に努めてほしい時期です。
腎臓機能の低下により、むくみや尿の異常、夜間頻尿、血圧上昇、貧血といった自覚症状が現れ始める時期です。健康時に比べ、腎臓の働きは半分近く低下しており、専門医による治療が必要です。
治療には食事療法を含んだ生活習慣の改善、原因疾患の治療、薬物治療の3つであたることになります。腎機能低下によって引き起こされる貧血、血圧の上昇などの症状の有無をチェックし、症状に応じた治療を行います。たんぱく質制限、塩分制限に加え、血中のカルシウム、リン、カリウムの数値などの管理も必要になってきます。
腎臓機能の回復が見込めない段階と考えられます。むくみ、尿の減少、高血圧、貧血、疲れやすいなど、全身にさまざまな症状が現れてきます。
食欲不振や胃のムカムカ、イライラ、息苦しさを感じるなど、尿毒症の症状も現れ始める時期です。治療の目標は現状維持。透析治療が必要となる一歩手前のため、透析治療の開始を遅らせることに重点が置かれます。
脳卒中、心血管疾患、尿毒症の合併症に気をつけながら、食事療法、生活習慣の改善、薬物治療を行っていきます。
腎臓機能が極度の低下状態で、透析や移植の準備も必要となってくる段階です。一層厳しい食事療法、生活習慣の改善、薬物治療に加え、日常生活にも制限が必要になります。
尿毒症が起きている場合は、透析療法の導入もしくは腎移植が必要です。透析療法には血液透析と腹膜透析の2つがありますが、透析療法で補える腎機能は正常な腎臓の約10分の1であるため、食事管理や合併症への対策は平行して行っていかなくてはなりません。
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