腎臓の機能が低下すると、体内の水分や塩分の排泄が正常に行われず、体内の水分量のコントロールができなくなってしまいます。その結果、細胞と細胞の間の水が増加するために起こる「むくみ(浮腫)」症状についてご紹介します。
腎臓には、老廃物を排泄する働き、水分とミネラルのバランスを保ち、血圧をコントロールするなどの働きがあります。しかし、腎臓機能が低下するとさまざまな障害が起きます。その障害の1つに、ナトリウムの排泄障害があります。
これは食塩の過剰摂取やカリウム不足、マグネシウム不足など、アンバランスな食生活を続けることで起こりるもの。水分とミネラルのバランスが崩れた状態であり、体内で過剰状態になったナトリウムが体の水分を引きつけ、その結果、水分を排泄できなくなってしまいます。こうして体内に水が貯留した状態がむくみ(腎性浮腫)として現れるのです。
腎臓には次のようなさまざまな働きがあります。
特に老廃物の排出は腎臓の大きな働きの1つで、腎臓で血液を濾過し、老廃物や塩分を尿として体外へ排出してくれる体内の清掃係のような役目を持っています。
このため、腎臓の働きが低下してしまうと余分な水分やナトリウムを排泄できず、尿が出なくなります。尿が出なくなることで老廃物や毒素が体内に蓄積してしまい、尿毒症になってしまう場合もあります。
「腎臓病=むくむ」と思われている人もいるようですが、腎臓病にもたくさんの種類があり、むくみの原因もさまざまです。たとえば、腎臓病でむくむ症状が出る病気で代表的なものでは
気をつけたいのは急性腎不全、慢性腎不全で、むくみが末期の症状で現れる場合もあることです。このような場合に備え、むくみが気になるようでしたら医療機関を受診することをすすめます。
ネフローゼ症候群は、腎臓の中にある毛細血管のかたまり(糸球体基底膜)に障害が起きることで、血液中のタンパクが多量に尿に出てしまい、むくむ病気です。
血液中のタンパク質が大量に尿へと排出されるため、血液中のタンパク質が減少し、低タンパク血症(低アルブミン血症)を起こします。これにより身体にむくみ(浮腫)が現れるのです。むくみは足だけはでなく、まぶたや顔全体に現れ、白っぽくなります。
ネフローゼ症候群の原因はさまざまで、原因や尿中のタンパク量、患者さんの年齢などによってもむくみの現れ方が変わります。ネフローゼ症候群の診断には尿検査、血液検査が必須で、次のような数値が出るとネフローゼ症候群と診断されます。
腎不全は腎臓の機能が落ち、体内の老廃物を十分排泄できなくなった状態。腎臓の働きが正常の30%以下に低下した状態をいいます。
腎不全には急激な機能低下によって起きた急性腎不全と、日常的に機能不全に陥るような要素を長期間続けてきたことで、徐々に機能低下を起こしてしまった慢性腎不全があります。
急性腎不全は腎機能を回復させることができる可能性がありますが、慢性腎不全になってしまうと腎機能の回復はほぼ不可能とされています。
なお、急性腎不全は比較的初期からむくみが現れますが、慢性腎不全では徐々に腎機能が低下していくため、むくむことが少なく末期となってからむくみに気づき、病気が判明する人もいます。
特発性浮腫とは、原因不明のむくみです。
むくみがあるにもかかわらず、どんなに原因を調べても全くわからない場合に、特発性浮腫(むくみ)と診断されます。ただし、原因不明ではあるものの、ほとんどの患者さんが女性という特徴があります。
という共通点も見受けられることが多く、ストレスやホルモンバランスが関係していると思われています。
むくみの原因として腎臓病は最初に疑われるものですが、腎臓以外にも血管や肝臓、心臓の障害などが起きている体からのサインである場合もあります。
たとえば下肢静脈瘤。女性に多い血管の機能障害で、静脈にある静脈弁が壊れてしまうことで血液が逆流し、血液が足に溜まってしまいむくむことがあります。悪化すると肌の黒ずみや湿疹、かゆみの元になります。
肝臓の病気も疑われます。肝臓には血管内で水分を保持するアルブミンという成分を作る働きがあるのですが、肝臓が機能障害を起こしているとアルブミンは生成されないため、むくみを引き起こす場合があります。
このようにむくみの原因は腎臓病とは限りません。気になる症状がある人は、病院で検査をしてもらってください。
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