血液透析療法の一つである頻回透析とは、1回の時間が標準的なもの(1回4~5時間)に比べて2~3時間と短い分、週に5回以上の透析治療を行っていく方法です。1回の時間が短くとも、透析の間隔を空けずに治療回数を増やすことで、最終的な1週間の透析時間を長時間行ったと同様にしています。
そのため、長時間透析に近い効果を得られることが期待できる、というのがこの透析方法の特徴となっています。それでは、そんな頻回透析を受けることで得られるメリットと、注意したいデメリットについてご紹介しましょう。
頻回透析を行うことで得られるとされているメリットについては、下記の2点があります。
頻回透析の最大のメリットと言えるのが、透析の間隔が短いという点です。一般的な血液透析が基本的に週3回・1回4~5時間であるのに対し、頻回透析は週5回以上・1回2~3時間と回数が多くなります。これにより透析量が増加するという効果を得られ、生命予後の改善を見る「HDP」の数値も高くなることが報告されています。
このHDPは、その数値が高いほど尿毒症や合併症による症状がなく、生命予後が改善されていると判断できるもので、頻回透析の場合は回数の2乗の割合でHDPを増やすということがわかっています。
頻回透析では、透析間で起こりやすい体重増加を抑えることが可能であるとされています。このように体重増加のコントロールが可能であるということは、血行動態の安定につながります。
こうした作用により、これまで標準的な血液透析では安定的に透析ができなかった、血圧が不安定な方、心臓血管合併症を持っている方などに対し、より安全に透析治療を行うことが可能となったそうです。
また、身体への負担が少なく透析を受けられることができるほかに、長時間透析に近い効果を得られることでも知られており、合併症などの改善や降圧薬など薬の量を減らしていく、といったことも可能となります。
頻回透析では、一般的な血液透析よりも尿毒症物質を良く除去できるというメリットがある反面、必要な物質まで除去されてしまう可能性があることが、デメリットの一つとして挙げられています。
また、一般的な血液透析よりも透析回数が多くなるため、シャントを穿刺する回数も多くなってしまい、血管の損傷や感染症へのリスクも高くなってしまいます。
加えて、ほぼ毎日透析を行うことになりますので、時間的な拘束による社会生活の制限が生じるといった点なども、頻回透析を行うことでのデメリットとして指摘されています。
頻回透析は、一般的な血液透析(1回4~5時間・週3回)が困難な不均衡症候群などの人や、十分な効果が得られない重度の腎不全の人に適している血液透析療法とされています。
また、血圧の不安定な人や心臓血管合併症を持っている人にも頻回透析は適しているとされ、身体への負担が少なく比較的安全に透析を行える方法と言われています。
※出典・くぼじまクリニックwww.kubojima.com/sdhd/voice.html
※体験談はあくまでもひとつのケースであり、個人によって効果や状態は異なります。
<参考文献>
日本腎臓学会発作成の診療ガイドライン
https://www.jsn.or.jp/guideline/guideline.php
透析治療ガイドライン
https://www.jsdt.or.jp/dialysis/2094.html
ケアネット
https://www.carenet.com/news/18795