人工透析療法の一つである「血液透析(HD)」とは、別名「人工腎臓」とも呼ばれる治療法です。その仕組みは、機械を使って血液を体外の透析器「ダイアライザー」へと送り、そこで老廃物や余分な水分のろ過・排出を行い、きれいになった血液を再び体内へと送り返す、というものです。
この一連の流れを循環させながら行うことで、失われた腎機能の代わりを果たせるようになっているのです。主に腎不全など、腎臓の機能が働かない重度の患者さんに、導入される腎代替療法となっており、一般的には1回4~5時間の透析治療を週3回行っていきます。
そんな血液透析ですが、近年ではより健康な状態の腎機能に近づけるため、様々な方法が開発され注目を集めています。
血液透析で血液をろ過する仕組みに、ダイアライザーの膜に圧力をかけてより多くの水分を取り出す仕組みを組み合わせた、近年注目されている方法です。血液中の老廃物を多く取り除ける効果の他にも、透析中に低血圧を起こしにくくなる、通常の血液透析より心臓への負担が小さい、といったメリットが挙げられている治療法です。
1回の治療時間が6時間以上で、週3回の治療を基本とした、週18時間以上の血液透析を行う方法です。一般的な血液透析療法と比べて、穏やかにより多くの老廃物や余分な水分の排出が行えるため、合併症の減少・貧血の改善・栄養状態の改善、といった効果が期待できる方法となっています。
標準である週3回と比べ、週5回以上の頻度で透析治療を行う方法です。1回の時間は、1.5時間~3時間未満の「短時間頻回透析」3~6時間未満の「標準時間頻回透析」6時間以上の「長時間頻回透析」と3つの種類があり、また治療を行う場所においても施設・自宅から選択することが可能です。この方法は透析間隔が短いため、透析の間の体重増加が少なく、血行動態も安定することから、血圧の不安定な方や心臓血管合併症を持っている方に対しても、安全に透析治療が行える治療法とされています。
夜間の睡眠時間中に血液透析を行う方法です。睡眠時間を利用しているため日中の日常生活に支障をきたすことがなく、平均的な睡眠時間である7~8時間をかけて透析を行うため、長時間透析のメリットを最大限に得ることが期待できる方法となっています。ただし、現時点においてこの透析治療が受けられる透析施設は限られているのが、大きなデメリットとなっています。
透析施設と同じ透析機器を自宅に設置して、医師の管理のもと患者さん自身が自宅で血液透析を行う方法です。自宅で行うため、患者さんのスケジュールで自由に時間を調整して透析治療ができるのが、この方法の最大のメリットです。回数も自由に決められ、通院透析では実施できる施設が限られる透析方法を行うことも可能です。ただ、医療スタッフの不在や、透析の知識や技術の習得が患者さんを含め介助者の方にも求められるなどの、デメリットもあります。
<参考文献>
日本腎臓学会発作成の診療ガイドライン
https://www.jsn.or.jp/guideline/guideline.php
透析治療ガイドライン
https://www.jsdt.or.jp/dialysis/2094.html