腎不全の症状が進み、いよいよ人工透析治療の導入が必要となった時、必ずしも現在治療を受けているクリニックでしなければならない、ということはありません。
例えば、治療を受けているクリニックの他にも、そのクリニックが提携している医療機関に紹介状を書いてもらいそちらで透析治療を行う、また自分で探し選んだクリニックで透析を受ける、という選択肢も存在します。
しかし、多くの場合こうしたクリニック探しは、限られた期間で行わなければならず、ゆっくりと選択していくことは困難です。また、どうやって医療施設を選んだらよいのかわからない、というのも患者さんの本音といえるでしょう。
人工透析治療は、ずっと付き合っていかなければならない治療です。だからこそ、自分の症状はもちろん、ライフスタイルにも合った方法で、信頼できる医療施設で透析治療を受けるのがベストです。でも、そんなベストな透析治療が受けられる医療施設を、どのようにして選んでいけばよいのでしょうか。
ここではそんな人に向けて、基本的なクリニック選びのポイントいくつか挙げてみました。
一般的な血液透析の他に、その施設ではどのような透析治療が受けられるのかを確認しておきましょう。仕事をしながら透析治療を受けたいと希望するのならば、夜間透析またはオーバーナイト透析を提供している医療施設がおススメになります。現在では、新しい透析方法を導入しているクリニックも多くなってきているので、そうした点もチェックしていくとよいでしょう。その上で、自分の症状・ライフスタイルに合わせて十分な透析が受けられる施設であるか、判断していきましょう。
クリニックの理念(モットー)は、その病院がどいうう考えを基にして施設運営をしているのかを示したものです。病院の姿勢が信頼できるものかどうか、判断する材料となります。また、医療スタッフなどがその理念に基づいてどのような行動指針を持っているかなども、確認するとよいでしょう。
透析治療を通して長く付き合っていくこととなるクリニックですから、その代表者である院長との信頼関係が築けるかどうかも、大切なポイントとなります。また院長が回診する頻度も、その院長が責任をもって診てくれているクリニックであるかどうかを知る、一つの基準になります。
透析が始まると、合併症を起こさないように気を付けていかなければなりません。尿素窒素・リン・カリウムの値、貧血の数値などを見る血液検査や、心臓の大きさ、心臓の状態などを診るレントゲンや心電図検査など、合併症の管理と共に透析効率や透析条件を確認するための検査を、どの程度実施しているかも確認しておきたいポイントです。
透析治療を受けているクリニックだけでは対応できない緊急事態(シャント異常や合併症の発症など)が起こった場合、対応してくれる提携病院がどのようなところなのかも確認しておきましょう。
透析室は、長時間透析を受ける場所ですので、その雰囲気を確認しておくのも大切なポイントといえます。もし実際に見学が可能であれば見ておくことをお勧めします。その際はスタッフの様子もチェックしておくと良いでしょう。慌ただしすぎないか、自分が透析を受ける時間帯に十分なスタッフの人数が確保されているかも、チェックポイントになります。
また、透析中にできるだけ快適に過ごせるよう、ベッドサイドのアメニティがどの程度整えられているのかも、チェックしておきたいポイントです。
希望の時間帯や曜日で透析を受けられるのかどうか、また曜日の変更の融通が利くかどうかも、QOL(生活の質)の向上には欠かせないポイントです。
透析を行うのに、通いやすい立地に施設があるのかどうかも、大切なポイントです。職場の近く、または自宅の近くなど、通院にかかる時間が短ければ、体への負担も少ないですし、ライフスタイルへの影響も少なくて済みます。
そのクリニックに患者会があれば、同じ透析患者同士で情報の交換をしたり、困ったことや悩み事などが相談できます。
<参考文献>
(じんラボ)透析施設選びのポイントいい透析ドットコム クリニックの選び方
https://www.e-touseki.com/info/basic.php?no=10