腎臓病は気付いたときにはかなり進行しているケースが多い病気です。このページでは腎臓病の特徴とはどのようなものかについてまとめています。
ひとことで「腎臓病」といっても、その原因や進行度合いによりさまざまな病気があります。急性なのか慢性なのか、腎機能そのものが低下する原発性の病気か、腎臓以外の病気が原因で発症した病気なのかによって、治療法や回復の範囲などが異なります。一般に急性糸球体腎炎に代表されるような急性腎炎は急激に症状が現れますが、適切なタイミングで治療を受け急性期を乗り切れば、腎機能が回復します。
急性腎炎の原因は溶血性連鎖球菌といった細菌類の感染や、扁桃腺炎などの炎症の影響を受けて急激に腎機能が低下します。発熱やのどの痛みなどが治ってしばらくしたのちに、血圧が高くなったり血尿やたんぱく尿が出たりします。急性腎炎の治療は保存的治療がメインで、たんぱく質や塩分、水分などの食事制限、抗生物質の投与、血圧コントロールのための降圧剤、利尿剤などの薬物治療を受けることになります。
いっぽう慢性腎炎と診断された場合、腎機能を正常な状態に戻すことはできません。慢性腎臓病は通称「CKD(Chronic Kidney Disease)」と呼ばれ、成人の8人に1人がかかっているともいわれています。初期症状などが自覚しにくいため気付かないだけですでにCKDになっている中高年層はかなり多く、新たな国民病として認識する必要がある病気のひとつです。
すでに慢性腎炎になっているとしても、腎臓病初期には痛みも症状も出ることが少ないため、以下のような症状が現れた場合は、ある程度進行したCKDであることが多いとされています。
この中でもっとも自分で確認しやすいのが尿の色が変化すること、毎朝の手足のむくみ、夜間尿。貧血や倦怠感、息切れは体調によって起こりやすいものであるため、その体調不良を腎機能の低下と結びつけて異常を感じとることはちょっと難しいかもしれません。
ただ、尿の色の明らかな変化や泡立ち、手足に出る急なむくみ、就寝後トイレに行く回数などは日常生活の中で感じられる異変であり、腎臓の異常をいち早く察知できる症状です。もしも異変に気付いたらスマホで写真を撮っておいて、泌尿器科や腎臓内科の診察時に医師に見せてもいいでしょう。
以下に腎臓病の特徴として挙げられる典型的な症状をまとめておきます。
●尿の色の変化
・たんぱく尿
…腎機能の低下により、本来は出てこないたんぱく質の尿が出てくることがあります。尿の色がにごる、泡立ちが目立ちなかなかその泡が消えないといった場合には、たんぱく尿を疑ったほうがいいかもしれません。ただしこのたんぱく尿は高熱が出たあとや運動後にも、一時的に出る場合があります。
・血尿
…腎機能のなんらかの障害により、赤血球が混じった褐色の尿が排出されます。血尿でまっさきに思い浮かぶのは腎臓がんですが、腎炎などの場合にも出る場合があるため、どちらにせよ早急な検査を受けましょう。
●むくみ
…まぶたのはれ、指輪が入らない、靴下や衣類によるしめつけの跡がなかなか消えない、靴がきついなどの急なむくみを感じた場合は、腎臓の機能低下による可能性があります。血液中のたんぱく質減少、水分の保持ができない状態がむくみにつながっていると考えられ、とくに血糖値が高い方に見られます。
●夜間尿・頻尿
…原因には糖尿病、過活動膀胱なども考えられますが、慢性腎炎などの場合には特に回数が多くなります。1日に3~10回が通常とされているため、それ以上の回数トイレに行くようになったら、一度泌尿器科などで尿検査を受けてみましょう。
初期段階に尿の異常を感じる方もまれですし、腎機能が通常の20パーセント程度に落ち込むまで、自覚症状がないといわれるのが、腎臓病のいちばんの特徴。慢性腎臓病などは、10年以上も自覚症状や体調の変化を感じることなく経過するともいわれています。それほど多くの腎臓病患者の方には自覚症状がありません。
多くの場合は病気が進行すると、腎臓の機能低下した状態「腎不全」におちいります。尿による体内毒素の排出ができなくなり、反対に必要な成分は尿によって排泄されてしまい、体内の情報伝達が円滑にできなくなってしまいます。
NHKスペシャル「人体」の第1回目のテーマとして取り上げられた「腎臓」ですが、これまで心臓や脳、胃腸などと比較してその存在を軽んじていたかもしれないと感じる内容が次々に明らかになっていきました。
とにかく一度低下してしまった腎機能を回復させることは困難であるため、まずは腎臓にやさしい食習慣と生活習慣とはどのようなものかを理解して、できるだけ長く腎臓が正常に働けるような環境を作ってあげることが大切なのです。