腎臓病の食事療法だけでなく、高血圧や心臓病などの血管病でも制限されるのが塩分(ナトリウム)。和食はヘルシーという印象がありますが、じつはしょうゆや塩、みそ、漬物など、日常的に塩分過多な食生活を送っている日本人が多いのです。
では、なぜ塩分を制限しなければならないのか、改めてその理由や注意点、食事療法を成功させるためのコツなどを解説しましょう。
腎臓の機能が低下すると、余分な塩分(ナトリウム)が排泄できずに体内にそのままとどまってしまうことになります。人間の体の60%は水分でできていますが、じつはこの体液、ナトリウムやカリウムなどの電解質を含んでいます。ナトリウムは水と結合する性質を持っていますので、体内に残った塩分と比例して水分が過剰な状態になっていきます。
体内に水分を溜め込むと、どうなるでしょうか?血液中の水分量増加が循環する血液量を増やし、血管に負担をかけることから高血圧を引き起こします。高血圧と腎臓病は互いに影響を及ぼしあう関係にありますから、高血圧にならないことが腎臓病予防の第一歩でもあるです。さらに悪化すれば、心不全や肺水腫になることもあります。
腎臓は尿をろ過する役割も持ちますが、腎機能が低下すると余分な塩分と水分を体外に排出する能力が低下してしまいます。結果的に血液量を増やすことにつながり血圧が上昇…塩分がもたらす負のスパイラルの完成です。
日本人はしょうゆやみそ、漬物といった塩っ辛い食品を多く口にする民族。ですから、塩分摂取量は諸外国と比べるととても多いとされていて、成人の1日の平均摂取量が約11g以上と言われています。和食は健康のためにいいという印象がありますが、外食でも家庭料理でも煮物や焼き物、みそ汁に漬物など塩分が高い料理がたくさんあります。
それに対して、食事療法における塩分量は1日に6g以下というのが目安ですから、意識せずに食事した場合の塩分量から比べると、約半分にまで減らす必要があるわけです。ちなみに健康な一般人の場合、1日あたりの塩分目標量は男性が8g未満、女性が7g未満。比較してみるとそれほど厳しい数値ではないことがわかります。今までの料理と比べると薄味になるイメージかもしれませんが、工夫次第で十分おいしく仕上げることが可能です。味わいになれるようにしてみましょう。
たんぱく質制限同様、どのような食品にどれくらいの塩分が含まれているのかを知ることからスタートしましょう。漬物や佃煮など塩分が高いとわかる食品以外にも…
おいしいと感じるセンサーは、塩気と甘みに強く反応します。スナック菓子をつまみにビールという人も多いと思いますが、加工食品には塩分の高いものが多いので、なるべくひかえるようにしましょう。
「うちのお父さんはなんの料理でもしょうゆをかける」なんて話をよく聞きます。味見もせず、ついつい調味料をかけてしまう習慣を見直しましょう。味付けは塩やしょうゆではなく、酢やレモン、ブラックペッパー、ショウガなどの香味野菜やスパイス類を使用すると、塩分が少なくても味にメリハリがつきます。発酵食品やだしを使うことで、素材のうまみを引き出すこともできます。また減塩しょうゆや減塩みそを活用するのもおすすめです。
しょうゆはかけずに小皿に入れてつける、焼き目焦げ目をつけて味のアクセントにする、なるべく新鮮な食材を使う…というように、ちょっとした工夫で塩分を減らすことができます。煮物やみそ汁などは昆布やかつおぶしなどで天然のだしをしっかりとって、食材そのものの味を感じられるように調理すれば、塩分が少なくてもうまみをしっかり感じることができます。
ただし、天然だしに含まれるカリウム量は100mlあたり昆布だしは140mg、カツオだしは26mg、カツオ・昆布だしは63mgが含まれています。カリウム制限がある人は、だしに含まれるカリウムも計算に入れることを忘れないように気をつけましょう。
外食は基本的に塩分が高めである場合が多いので、なるべく味の濃いメニューは避け、できれば塩分表示などを確認してみそ汁などは半分にするなどの工夫が必要。ラーメンのスープは残すようにしましょう。じつは和食屋さんより、トマトソースやオリーブオイルを使ったメニューが豊富なイタリアンレストランのほうが、腎臓にやさしいメニューがあるのだそうですよ。
腎臓病食や治療用の特殊食品を活用するのはもちろんのこと、これまで無意識のうちに多用していた調味料を見直し、調理方法を見直し、食材選びを見直す。このような食習慣の見直しで、ご家族も健康的な食生活に変えるきっかけにしましょう。
腎臓病に限らず、日本人は塩分を過剰摂取している人が多いので注意が必要です。
塩分コントロールは腎臓をいたわるだけでなく、すべての生活習慣病予防のカギでもあります。「味が薄くて食べた気がしない」「おいしくないから食欲も出ない」ということがないように、塩分過多な状態に慣れてしまった食習慣を見直し、食材本来のうまみを楽しめるような献立を考えてみてください。
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