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腎臓病の食事療法で気をつけるべきポイントをチェック

いったん腎臓病と診断されたら、一生継続しなければならないのが食事療法。急性腎不全など腎臓病のタイプによっては治療期間などに若干の差はありますが、慢性腎不全の場合、命を養う食で腎臓病の進行を最低限にとどめなくてはなりません。

慢性腎臓病は完治することがありませんので、ある意味食事療法が最後の砦。ここが崩れてしまうと、透析療法を余儀なくされ、腎移植という最終手段しか選択できないような末期症状へと進んでしまう可能性が高いのです。ですから、腎臓病患者にとって食事療法はもっとも重要な治療法といっても過言ではありません。

栄養士

宮澤 かおる(管理栄養士・健康運動指導士)さんからのアドバイス

「腎臓病にしても糖尿病にしても自覚症状がないため、気付いたら深刻な病状だったということが少なくありません。突然宣告されて医師や管理栄養士から食事制限の指導が入ったとしても、なかなかそれを受け入れられない患者さんもいらっしゃいます。ですから、食事療法の重要性を管理栄養士であるわたしたちがお伝えして、なんとか継続していただけるような工夫をしていきます。たとえばたんぱく質の制限食を一度宅配サービスなどで注文して、食べるだけでなく視覚的にも覚えていただいて、少しずつ慣れていただく。食べられる量などが感覚的に把握できるようになれば、継続しやすくなると思います」

宮澤さんがアドバイスしているように、たんぱく質制限食や塩分制限食に慣れるためには、何度か制限食の宅配サービスを使ってコツをつかむことと、どの成分をどれくらい食べていいのか、適正な量を把握することが大切です。以下のページでは食事宅配の制限食とはどのようなものか、実際に食べてレポートしています。ぜひ参考にしてみてください。

>>たんぱく制限食の実食レポートを見てみる

>>栄養成分ごとの適正摂取量と計算方法をチェックする

腎機能の低下はライフスタイルの崩れの表れ

ここでちょっと、これまでの生活習慣や食習慣を振り返ってみてください。好きなものを好きなだけ食べ、不規則な生活を送り、運動もほとんどせず…。その結果、ある日突然高血圧や糖尿病、脂質異常、肥満などの生活習慣病を引き起こし、腎機能も低下します。

急性腎不全は薬の副作用や事故など外的要因により発症するものです。一方、慢性腎不全は腎機能低下の直接的な原因は、バランスを欠いた食生活と生活習慣病を招くようなライフスタイルそのものにあるのです。

一般に食事療法は主治医の指示に基づき、病院の管理栄養士が院内で作成する「約束食事箋(食事せん)」の内容に沿って、自宅でも食事を作ることになります。入院中は血液検査や尿検査などの数値に変化があればそれに合わせて食事も調製してくれるので心配ありませんが、療養中や日常生活に戻ってからが、食事療法の本番。ご家族の協力なくしては、かなり苦労されるかもしれません。

腎臓病食で制限される代表格はたんぱく質ですが、1日6gまでという塩分制限も必ず守らなければならないもの。そのほか身長・体重・運動量など個別の条件、腎臓病の種類や病状、生活習慣病の有無、そして食習慣や生活習慣といったライフスタイルの違いに合わせて、食事療法の方針を決めていきます。[注1]

慢性腎臓病の食事療法は生きている限り続きます。食べたいものが食べられず、塩分やカリウムなどいままで気にせず口にしていたものまで気をつけなければいけません。実際に体験してみないとわからないことですが、最初はかなりストレスを感じる人が多いと思います。

できないことばかりについ目が向いてしまいますが、月に2~3回程度の外食で食べたいものを食べたり、旬の食材をだしなどを使っておいしく調理したり、工夫を凝らして楽しみながら食事療法が続けられるようにできれば理想的。完璧にこなそうと思うのではなく、腎臓病を入り口近くで引き止めて、これ以上病状を悪化させないための予防や、合併症の改善などにつながるよう、生活の一部として食事療法に向き合うようにするとよいと思います。

[注1]厚生労働省:慢性腎臓病(CKD)と食事の関係[pdf]
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042647.pdf

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たんぱく質を増やさずカロリーをキープするコツ|腎臓病の食事療法

腎臓病の食事として代表的なのが、たんぱく質制限です。

なぜたんぱく質の摂取を制限しなければならないかというと、炭水化物や脂質の場合、エネルギー源として代謝されると汗や尿、二酸化炭素になって体外に排出されるのですが、たんぱく質はエネルギーとして燃焼すると、尿素窒素や尿酸といった老廃物を排出するために、腎臓をフル稼働させなければならないからです。

腎臓が健康でしっかり機能していれば問題なく代謝できるのですが、腎臓の機能が低下していると、代謝することが難しくなります。

代謝されなかった老廃物は体内にとどまり、さまざまな疾病の原因となります。

腎臓病のステージによって1日に摂取してよいたんぱく質の量が異なります。

食材に含まれているたんぱく質の量は「腎臓病食食品交換表」などを参照しながら計算します。

>>たんぱく質を増やさずカロリーをキープするコツ|腎臓病の食事療法

塩分制限と上手に付き合うコツ

高血圧や心臓病をはじめ、腎臓病の食事量法でも塩分(ナトリウム)の制限が必要になります。

これは、腎臓の機能が低下すると、塩分を排出できず体内に留まってしまうからです。

人間の体は60%が水分でできていますが、体液中にはナトリウムやカリウムといった電解質を含んでいます。

ナトリウムは水と結合する性質を持つため、体内の塩分(ナトリウム)が過剰となってしまうと、水分も過剰な状態となりむくみが現れてしまうのです。

体内に水分を溜め込んでしまうと高血圧を引き起こし、さらに腎臓病を悪化させる要因となります。

ひどい時には心不全や肺水腫を起こす恐れもあるので、腎臓病における塩分の摂取制限はとても重要なのです。

>>塩分制限と上手に付き合うコツ

エネルギー(カロリー)摂取量を減らさないための工夫とは

腎臓病の食事療法ではたんぱく質の摂取制限が必要となりますが、たんぱく質を控えると総摂取カロリーが少なくなってしまい、これは腎臓病の食事療法において悪い傾向とされます。

腎臓病の食事療法では制限しなければならない成分が多いので、食が細くなりがちです。

そうなると1日に必要な摂取エネルギーを確保できなくなり、日常生活に支障をきたす恐れがあります。

腎臓病に必要な食事制限を行いながら必要なカロリーを摂取するには、主食を低たんぱくなものに変え、脂質の多いものを積極的に摂取する工夫が大切です。

>>エネルギー(カロリー)摂取量を減らさないための工夫とは

そのほか、リン・カリウム・水分の制限について

腎臓病の食事療法では、たんぱく質や塩分の摂取制限のほか、水分やカリウム、リンも摂りすぎに気をつけなければなりません。

腎臓の働きが弱ってくると、血液中のカリウムを体外に排出する機能も低下してしまいます。

これを高カリウム血症と呼びますが、体がしびれたり、だるくなるといった症状が起こり、ひどい時には不整脈を起こすこともあるため、1日のカリウムの摂取量を1,500mgに抑える必要があります。

リンについても同様で、腎機能の低下によりリン排出機能が低下し、高リン血症となる恐れがあります。これについては、たんぱく質の制限を十分に行うことで、リンの摂取も抑えることが可能です。

水分摂取においては、尿量がかなり少ないとき、むくみが出ているときは控えた方が良いようですが、それ以外の場合はこまめな水分補給が必要です。

腎臓病では体内に水分を保持する機能も低下するため、脱水状態になる恐れがあります。

水分摂取量についても、基本的には医師の指示に従うようにしましょう。

>>そのほか、リン・カリウム・水分の制限について

腎臓病は疾患別で食事療法に違いがある?

腎臓病にはさまざまな疾患があり、疾患によって食事療法が異なります

例えば糸球体腎炎の場合、体重1kgに対して30~50kcalのカロリーを摂取できるよう意識しつつ、塩分やたんぱく質の摂取を控え、水分は医師の指示に従って摂取します。

ネフローゼ症候群の場合は、エネルギーをしっかり摂りながら塩分とたんぱく質の摂取を控えるとともに、カリウムの摂取にも制限が必要です。

腎不全では、カロリー摂取を意識しながら塩分、たんぱく質の摂取を控え、むくみや尿の量によって水分を制限します。

>>腎臓病は疾患別で食事療法に違いがある?

成分別の適正摂取量を知ろう

腎臓病の食事制限はかなり細かく、100人の腎臓病患者がいれば、100通りの食事箋があるといわれるほど。

体重や仕事の内容、運動量の違いなどによって、食事療法のカスタマイズが必要となります。

こうした細かな食事療法は、日本腎臓学会が算定した「DK(慢性腎臓病)ステージ(病期)による食事療法基準(2014年版)をベースに、治療方針を定めていきます。

たんぱく質の制限については、ステージが上がれば上がるほど厳しくなります。細かな数値については医師の指示に従います。

ナトリウムの摂取量は、1日3g〜6gの範囲内で、個人の症状にあわせて調整します。

カリウムの摂取量については、ステージ1~3aの場合は制限がありませんが、ステージ3bであれば1日2,000ml以下に、ステージ4~5の場合は1日1,500ml以下に抑えます。

カリウムはほとんどの食品に含まれますので、細かい成分量計算が必要なので、医師の指示に従って制限を行いましょう。

>>成分別の適正摂取量を知ろう

腎臓病食にも活用したい、カラダにやさしい食材とは?

諸説ありますが、「腎臓病によい食材」については根拠のはっきりとした情報がないのが現状です。

ただし、>>腎臓の負担を減らすという意味で腎臓病に活用したい食材としては、しいたけやマッシュルーム、とうもろこし、はと麦などが挙げられます。

しいたけやマッシュルームに含まれる「エリタデニン」という成分は、血中コレステロールの排出や血圧調整作用があるとして知られており、生活習慣病の予防と改善効果が期待できます。

とうもろこしは利尿作用があり、むくみを解消する効果が期待できるそうです。

はと麦はデトックス効果が高いとされているので、水分制限の必要がない場合は積極的に取り入れたい食材。

そのほか、梅や小豆、大根や山芋なども、腎臓病の人にやさしい食材だといわれています。

>>腎臓病食にも活用したい、カラダにやさしい食材とは?

腎臓に負担をかける食品を知っておこう

腎臓病にやさしい食材があるのと同様に、腎臓病の人が控えるべき食材もあります。

まずは麺類。

麺類はスープだけではなく麺そのものにもかなりの塩分が含まれているため、腎臓病で塩分を控えなければならない人にはおすすめできない食材です。

また、市販のお弁当も自炊するよりも高い塩分が含まれています。

そのほか、甘いお菓子にも実はたくさんの塩分が含まれているので注意が必要です。

例えばミスタードーナツのオールドファッションには1つあたり0.6gの塩分が含まれていますが、これはコンソメ味のポテトチップス1袋の塩分量と同じになります。

調味料も塩分が多いのでできるだけ控えたいですね。

そのほか、たんぱく質も腎臓病の人は控える必要があります。

>>腎臓に負担をかける食品を知っておこう

たんぱく質制限食の実食レポート~食事宅配「冷蔵」VS「冷凍」どちらがおいしい?~

腎臓病における食事療法がスムーズに行えるよう、「腎臓病食」として冷蔵や冷凍の食事宅配があります。

塩分やたんぱく質の量などを考えて作られているので、自分で成分量の計算をしなくてもよいのはとても楽ですし、調理をしなくてもすぐに食べられるので手軽です。

冷蔵職と冷凍食、どちらもとてもおいしくいただくことができますが、それぞれに特徴があります。

冷凍食はまとめて一定期間保存できる点が大きなメリットです。

冷蔵食は長期の保存には向きませんが、1ヶ月単位でメニュー構成されているので飽きることなく食べることができ、また冷凍していない分食材の味が生きています。

それぞれの長所と食事において重視したい点を照らし合わせ、無理なく楽しく食事療法できるように活用してみてください。

>>たんぱく質制限食の実食レポート~食事宅配「冷蔵」VS「冷凍」どちらがおいしい?~

管理栄養士・健康運動指導士
宮澤かおるさん

病院で管理栄養士をしていた宮澤さんに、自宅で簡単にできるおいしい腎臓病レシピをおしえてもらいました。

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