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「腎臓が寿命を決める」といわれるのはどうしてですか?

NHKスペシャル『人体』の第1回目放送で取り上げられた腎臓、人体の情報ネットワークのかなめとなる重要な役割を果たしていることが繰り返し説明されていました。「寿命を決める」ともいわれるほど重要な役割をもつ腎臓の働きについてQ&Aでお答えします。

「腎臓が寿命を決める」といわれる理由とは

臓器を動かす司令を出しているのは脳ではないのですか?

最近の研究では、腎臓は尿を作って体内の老廃物を排出させるだけでなく、他の臓器と情報交換しながら、赤血球の量や血圧などを調整していることがわかってきました。。

今までは、脳が指令を出して他の臓器を動かしていると考えられてきましたが、人体科学の最新研究によれば、脳からの指令を待たず、臓器同士が直接情報を交換するネットワークを作り、私たちの命や健康を支えているという考えが広がってきています。

こうした「体内情報ネットワーク」のかなめであり、世界中の科学者が注目している臓器が腎臓なのです。

腎臓は他の臓器にどのような指令を出しているのですか?

腎臓は「メッセージ物質」と呼ばれる伝達物質を出すことで他の臓器と連携して、主に内分泌と代謝の調整を行なっています。

NHKスペシャル「人体」の第1回(2017年10月1日放送)によると、腎臓は全身の酸素濃度をコントロールする重要な働きをもっているそうです。血液中の酸素が不足すると、腎臓はEPO(エリスロポエチン。造血ホルモンともいう)と呼ばれる物質をさかんに放出します。

EPOに反応するのは骨(骨髄)です。腎臓から「酸素が足りない」というメッセージを受け取った骨は、酸素を運ぶ役割をもつ赤血球の増産を始めます。すると、徐々に血中の酸素量が正常に戻っていくというシステムなのです。

出典:NHKスペシャル『人体“腎臓”があなたの寿命を決める』
http://www.nhk.or.jp/kenko/special/jintai/sp_3.html

腎臓の手術で高血圧が治るのは本当ですか?

腎臓は血圧の調整にも深く関わっています。血圧が低下すると、腎臓はレニンと呼ばれるたんぱく質分解酵素(メッセージ物質)を分泌します。レニンは肝臓や脂肪細胞にあるアンジオテンシノーゲンという物質と反応して、アンジオテンシンという血液上昇作用を持つ物質を生成。下がった血圧を元に戻すよう調整しているのです。

このような、腎臓を中心とする体内ネットワークの仕組みを利用して、最先端の医療現場では、病気の治療に大きな革新が起きています。NHKスペシャル「人体」の第1回(2017年10月1日放送)で紹介された「腎デナベーション手術」もその1つ。太ももの血管からカテーテルを入れて、腎臓の血管の周囲にある交感神経の一部を焼き切るという手術です。

高血圧患者の体内では、腎臓がレニンを必要以上に出していることがわかっていました。従来は薬でレニンの作用を抑えてきましたが、それでも血圧が下がらない患者さんのために、外科手術によってレニンを放出しないようにできないかと考えたのです。

NHKスペシャルに登場したドイツライプチヒ心臓センターによると、「腎デナベーション手術」を行った結果、多くの患者が快方に向かったということで、なかには、215あった最高血圧が手術後140まで低下した、という報告もされています。

今後も新しい高血圧治療として、臨床試験が続けられていくそうで、日本でも東京女子医科大学を始めとする複数の医療機関で試験が始まっています。

出典:NHKスペシャル『人体“腎臓”があなたの寿命を決める』
http://www.nhk.or.jp/kenko/special/jintai/sp_3.html

 

「腎臓が寿命を決める」といわれるのはどうしてですか?

長寿のカギを握る物質について、以前からさまざまな研究が進められてきましたが、最近の研究結果から、リンがそのカギを握る重要な物質であることがわかりました。

2017年8月17日、慶應義塾大学医学部は、食事で摂取されるリンの代謝が寿命を制御することを発表。リンが体内で正常に代謝できないことが老化現象につながることを導きだし、各界で注目を集めています。

ミネラルの一種であるリンは、肉やマメ類に含まれる栄養素で、カルシウムやマグネシウムなどと一緒に骨や歯をつくるのに欠かせない成分です。遺伝子を作る核酸や、体のエネルギー源となるATP、たんぱく質にもリンが含まれており、血液中のリンが足りないと、呼吸不全、骨軟化症、くる病などといった命に関わる病気を発症します。

しかし、リンが多すぎると今度は、動脈硬化や骨粗鬆症を始めとするさまざまな老化現象が起こり、寿命が短くなるという研究結果が今回発表されたのです。

体内におけるリンの代謝調節には、腎臓が重要な役割を果たしています。つまり腎機能が低下すると、リンがうまく排出されずに老化現象がどんどん進んでしまうということ。これが、「腎臓が寿命を決める」といわれるゆえんです。

出典:出典:慶応義塾大学医学部プレスリリース「食事で摂取されるリンの代謝が寿命を制限する」
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2017/8/17/28-23123/

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